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管理職のための戦略的ICT活用研修 事例3

ワークショップ

「学校におけるICT活用のための管理職研修」

主催 日本教育工学協会(JAET)および 松山市教育委員会
日時 平成21年11月24日(火) 午後2時~午後5時15分
場所 松山市青少年センター 3階大ホール
講師 山西潤一(富山大学教授)
対象 松山市内の校長、教頭、副参事・事務長、教務主任
参加 上記対象者 33名

14:00 ~ 14:25 (25min)

イントロダクション

松山市教育委員会学校教育課長挨拶(豊田課長)
松山市のICT環境導入に関する情報共有と、本研修の趣旨説明。
 
研修の概要説明(~14:15)
  • 先導的教育情報化プログラムにおける当協会の取り組みに関する説明
  • ICTスキルのある若手教員と、授業スキルのあるベテラン教員が混在している現在。そして今の子どもたちは「デジタルネイティブ」。ICT抜きの教育活動は考えられない。アナログのよさ、デジタルのよさを両方生かした授業で子どもに力をつけていきたい。
  • 今日の研修はグループ討論やディスカッションを中心とする。知識を詰め込む研修ではなく、日常的な悩みや問題を出し合い、共有し、解決の糸口を探っていく。
 
導入の活動(~14:25)
  • アクションチェックシートの記入
  • ワークシート項目「1.オリエンテーション」に記入

    1.オリエンテーション
    「あなた自身が管理職として、あなたの学校(あるいは関係する教育機関)で2~3年以内に実現したいと考えていることをあげてください。」

  • アクションチェックシートの説明


演習1:教育の情報化、多様なICT活用

14:25 ~ 15:05 (40min)

講義:「教育の情報化の目指すもの」及び「教育の情報化の動向」


日本のICT戦略の説明(~15:05)
  • 1950年代の「情報処理教育」の時代から、リテラシーとしての「情報活用能力」を育成する時代(1990)年代へ
  • 2001年から国家戦略として情報化が進められている。
  • 教育の情報化が目指すもの
    • 従来の教科学習における授業改善
    • 情報教育による新しい資質の育成(情報活用の実践力、情報の科学的理解、情報社会に参画する態度)
    • 校務の情報化(校務処理の改善、教員のゆとり)
  • 教育の情報化の動向や整備目標の達成率、ICT活用指導力の状況調査結果の概況解説。
    • 教員のICT活用に関する意識調査を引用し、ICT活用の効果に関する観点別評価の情報、客観テストによって明らかになったICT活用効果等を提示。
  • 新学習指導要領に位置づけられたICTについて。
  • ICTを活用した教育活動の具体例提示
    • プロジェクタと実物投影機の活用例
    • タイピングスキルを身につける教育活動例
  • ICT活用の整備状況について
    • 都道府県別ランキングは出ているが、地域間格差は存在する。格差を埋めるには先生方の情報共有が肝要。
  • 生徒のICTスキルは環境と教員のスキルに依存。
  • 国家戦略におけるICT環境達成目標と達成状況の提示。
  • 教員のICT活用指導力の状況について
  • 今後の教室のICT環境について
    • 現状は授業におけるICT活用が進まない理由として「準備時間の不足」「機器の不足」等があげられる
    • 5年後、10年後の教室のICT環境についてJAPET資料を基に説明


15:05 ~ 15:15 (10min)

ビデオ視聴1

管理職のための戦略的ICTコンテンツ総論(映像)をみる


15:15 ~ 15:20 (5min)

休憩




演習2:改革への戦略

15:20 ~ 15:50 (30min)

作業1:課題を共有し管理職としての戦略を考える

<個人作業10分>
まずは個人作業。個人あるいは本校の「課題」と「解決したいこと」を付箋紙に記入。
  • それぞれの学校が課題と考えていること、これから解決していくことを共有。各校で
        共通の課題や特色のある課題について知恵を出し合う。
  • 自分の「課題」を青、「解決法」をピンクに記入


    <グループ作業20分>
    課題と解決法をペアにしてグループ化する。
  • 共通の課題として「情報モラルに対する取り組み」「ICTに対する教員の意識不足」
        「教員のスキル不足」「環境が十分でない」などが見られた。


  • 15:50 ~ 16:00 (10min)

    講演:改革のための取り組みと要因

    (1)VISION(ビジョン)
  • 解決すべき問題は何か?
  • ゴールのイメージを明確に持つこと
  • 解決までの時間に見通しを持つこと
  • (2)組織つくり
  • VISIONの共有化のための工夫
        検討会・発信型の研修会
  • 支援体制
        保護者の協力/協力者の養成
  • 管理職の役割は?
  • (3)経費の担保
  • 設備的な予算
        教育委員会(企画と申請)
        研究委託事業の受託
        民間の研究プロジェクトへの参画
  • 運用的な予算
        校費の重点配備
        保護者の協力
        民間の研究プロジェクト


  • 16:00 ~ 16:10 (10min)

    ビデオ視聴2

    愛知県での取り組み事例(映像)をみる
    戦略的なビジョンをもってICTを活用した校務改善を行った例。


    16:10 ~ 16:30 (20min)

    作業2:グループでのビジョン作り

    グループごとに整理した課題を、仮想の学校に適用し、具体的な解決法について、
    ワークシートの内容をもとに、実現計画を考え、改革への戦略をまとめる。


    16:30 ~ 17:00 (30min)

    プレゼンテーション

    各グループ、2分で改革戦略の発表を行い、講師が講評する。
    各グループの発表から出てきたキーワード:
  • 小中の連携・・・言ったり来たりではなくて、HPでの情報発信などの手段で実現できる
        部分もあるのではないか。連携の結果、どんな人材を育成するか?
  • 地域に開かれた学校づくり。そのためにはICT活用から始まる情報発信。無理のない
        活用からはじめる。
  • 情報管理については体制作りから考えなくてはいけない。
  • ICT活用は効率化された時間を子どものために使うというのが大事な大前提。地域に
        信頼されるにはどういうアウトプットが必要か?学校の様々なデータが公開される時代。
        例えば各学校の具体的な数値目標を示すなど。(マニフェストのような。)
  • 生徒が生き生きする学校。課題はICT活用のための研修時間の確保。効率化する
        ツールであるICTも、最初の一歩には時間がかかる。情報発信の手段をHP一辺倒に
        するのではなく、必要に応じて紙媒体も活用していく。また、情報モラル教育にも注力して
        いきたい。
  • 子どもだけでなく、教職員にも「ICTを使うと便利なんだ」という体験をさせることで、
        活用に対する意識を高めていく。ただし、校内にスキルのある人材がいるとは限らない
        ため、外部人材も積極的に活用していきたい。
  • 機器、場所、人材などの環境の確保→研修時間の確保、教員間の意識差を埋めて
        教職員の資質・能力の向上をはかる。
  • ICT活用、使わなければわからない。OHPの時代に「使いなさい」としたように、まずは
        使ってみることを強く勧めることも必要ではないか。
  • 教員の意識を「使えるね」「便利だね」と変えていくことが必要。書がカメラは今、模造紙を
        提示しているように、情報共有に便利。ただ、現実は使おうとした時に機器がない
        (貸出中)ということもあろうと思う。計画的に環境を整備していく必要もある。



  • まとめと今後の課題

    17:00 ~ 17:15 (15min)

    まとめと今後の課題(レポート・宿題など)

    講師による研修のまとめ
    • これからは学校が説明責任を果たすことが重要。情報公開もそのひとつ。
    • 今日は各地域の課題と解決策を共有できた。
    • 戦略的な指導力とは?
      • 学校をリードするビジョンを持っている
      • ビジョンの見直しをスタッフで
      • 良い方法を分かち合う方法と実践
      • ICT活用への理解と問題の把握
      • 現在と将来を見据えたICT活用
      • 長期的に考え、短期的に解決策を
        ビジョン>実現計画>予算
    • ICT整備状況と教員の資質差に関する英国のデータを引用し、環境整備の重要性について共有。


    宿題

    自分の学校の課題に対し、どう戦略的に取り組んでいくか?A4で2ページ以内のレポート提出が課された。

    レポート課題:
    1.今回の研修に参加して、気がついたこと、感じたことを事務局までメールにてレポート
        ください。(期日は11月末までとする)
  • あなた自身のなかでの新しい発見
  • 講義や映像資料などで改めて確認したこと
  • 研修の全体の感想
  • 2.今回の研修を体験から得た知識やアイデアを基にして、あなたは、管理職として、
        これからどのような問題に焦点化して取り組めそうに思いますか。長期的な計画と
        短期的な計画について簡単に書いて下さい。
  • 長期的計画・・・
  • 短期的計画・・・
  • 3.その問題解決にICTをどのように活用できそうですか、そのために、何を準備し、
        どのように運用していけばいいと考えますか。VISION,組織、経費などの関連を
        考えて、レポートして下さい。




    レポートより
      課題1.今回の研修に参加して、気づいたこと、感じたこと
      <あなた自身の中での新しい発見>
    • 学校現場では、「ICT活用」という言葉を「コンピュータやインターネットの活用」ととらえがちである。デジタルカメラや実物投影機等、
          これまで「視聴覚機器」というイメージでとらえてきた物、さらに、これまでも当たり前のように活用してきたVTRと同様に活用でき
          それ以上に活用可能な教科ごとのソフトウェアなども、活用の範疇であるということを確認できて、少し楽になった。
          (中学校・教頭)

    • 視聴した実践例の中で、ICTを活用して「全教職員で生徒を見つめる『いいとこみつけ』を行っている中学校の取組例」や
          「学校ホームページの考え方、活用の具体的な事例」は、目から鱗の活用例だった。
          (中学校・校長)

    • 学校経営に参画していくために、ミドルリーダーとしてリーダーシップをとる大切さを再確認した。また、VISIONを立て、改革していく
          手法などワークショップを通して理解することができた。
          (小学校・教務主任)

    • パソコンをほとんどワープロとしか使えていない今の私には、このようなテクノロジー全般に対する漠然とした苦手意識がありましたが、
          身近なデジタルカメラの活用なども有効な事例であると知り、「何か自分にもとりかかれる、馴染んでいけるような方策がありはしないか」
          と考えさせられました。
          (中学校・教頭)
    • <講義や映像資料などで改めて確認したこと>
    • 私は、教頭ではあるが、1年生3クラスの社会科と3年生選択社会(計10時間)を担当している。そのため、これまでに作成した
          TPシートを毎時間使用しているが、これを切り替える精神的余裕がない。学校にある実物投影機を利用した方が簡単便利であると
          思いながら活用していない。そういったものを活用する小さな勇気と、「そうした方が楽だ。」と同僚に伝えることが必要だろう。
          (中学校・教頭)

    • ICTを活用することは、子どもの興味・関心を高め効率を上げるだけではなく、指導時間や準備時間の短縮にもなり、教員の
          負担減にもなる。
          (中学校・校長)

    • 一斉授業では、道具の使い方が分かりにくい生徒に指導するには、マンツーマンでしかない。分度器の使い方の映像資料では、
          教師の説明を大画面で確認できるため、一人一人の生徒がポイントを確認しながら学ぶことができていた。細かい作業も、大画面で
          確認しながらできるため、効果的・効率的に指導ができる。子どもにとって分かりやすい提示になっていた。
          (中学校・教頭)

    • 学校にとって、ホームページによる情報発信は今や当たり前のことであるんだなと再確認しました。今の私の学校は、ホームページが
          ありはするものの、まだまだ十分ではないなと再確認させられました。
          (中学校・教頭)
    • <研修全体の感想>
    • 今の時代に生きる子どもたちに、授業や様々な活動にICTを活用して取り組むことは大切であり、そのことが、学力や活用能力の向上に
          つながる。また、教員の時間短縮にもつながり、ゆとりが生まれる。
          (中学校・校長)

    • 新しい機器や道具を使うとなると、操作や扱う時間で大変苦労し、機器に遊ばれている感がある。機器を必要な場面、必要なときに
          有効に使いこなすことにより、効果的・効率的に指導できるために、研修の必要性を感じた。
          (中学校・教頭)

    • 大切なのは、教職員への意識づけだと感じました。本校の教職員の中にも、情報機器の取り扱いの苦手な人がいます。私も、
          ここ5年間でやっと使えるようになってきました。大事なことは、自分で興味を持つことだと思います。最近では、学校のHPに興味を
          持ち、学校を変える一つの手段として活用したいと考えております。山西先生が提示していただいたビデオ、資料は大変好感が
          持てました。本当にありがとうございました。
          (中学校・教頭)

    • ワークショップで課題や改善方法の共有化ができ、他校でも同じような問題点を抱えていることを認識できたと共に、違った考えを
          知ることもでき参考になった。
          (小学校・教務主任)

    • 私個人の課題と管理職としての課題はもちろん同一ではありませんが、私自身がICTについて十分理解せず、(他の堪能な職員に
          頼ったままで)全体に発言することには大きな限界があると感じました。少なくとも、率先して学ぼうとする姿勢を示すことが大切では
          ないかと思います。ただ、ICTといえども一つの手段ではあると思います。例えば、アンケートなどについて、答える側にとっては
          ペーパーで回答すれば簡単なことであるのに、集計する側の負担軽減を考えて電子ベースで回答を求め、かえって回答者の負担を
          増してしまうといったこともないではないと思います。誰にとっての効率化・負担軽減かということはよく考えていかなければならないと
          思います。
          (中学校・教頭)
    • 課題2.これから管理職としてどのような問題に焦点化して取り組めるか
      <長期的計画: 「開かれた学校づくり」に向けて>
    • 外に向けて…学校からの発信、地域・関係機関への協力
          内に向けて…学校への保護者・地域や関係機関からの支援
          (中学校・教頭)

    • 分かる授業の創造
      • 授業改善を進めながら授業力の向上を図る組織にする。
      • 教材の整備・充実と開発を行うとともに、組織として利用できる体制を整える。
          (中学校・教頭)

    • 「新しい時代(情報社会)を生き抜く力の育成」
      • 学力向上のための授業改善や工夫
      • 生きる力の再確認
          (中学校・校長)
    • <短期的計画: 「生徒の学習習慣の定着と学習意欲・学力の向上」「教職員の研修の機会の改善」に向けて>
    • 小中交流会を年3回実施
      • 小中の教員が授業参観後、3つのグループに分かれてて課題を話し合う。
    • 基礎学力コンテストの実施
      • 漢字コンテスト、計算力コンテスト、スペリングコンテスト
    • 行事の精選・授業時数の確保
      • 総合的な学習の時間で実施している行事や活動を小学校と系統性を持たせることで授業時数の確保を図る
          (中学校・教頭)

    • 家庭や地域、小学校等との連携強化
    • 補充学習や教育相談等の充実
          (中学校・校長)

    • 松山市PTA「連合会が実施してくれている携帯電話によるメール配信システム「MACネットシステム」の使用頻度を高めていく。
          (不審者情報の配信に限らず、情報の多様化を図る。)
    • 学校のホームページの充実を図る。(更新頻度の向上に努める。)
          (中学校・教頭)
    • 課題3. その問題解決にICTをどのように活用できそうですか。そのために、何を準備し、どのように運用していけばいいと考えますか。
    • 現在、本校では、学校だより(A4裏表を教頭が作成し、全家庭と校区の公民館、小学校に配布)を年間約50号発行している。
          この内容を吟味し、次年度からは、半分程度本校のホームページに移行するとともに、毎週更新する。ホームページの更新を、
          管理職(校長・教頭)ができるようにスキルを上げる。
          (中学校・教頭)

    • 教職員のICT活用における意欲や技術の個人差は、教科間や学年間での指導の違いに現れてくる。それは、生徒の興味・関心や
          学力の定着にも大きく影響してくると考えられる。そこで、誰でも手軽に取り組める環境を整え、教科間や学年間での指導に差が
          生じないように努めなければならない。
          (中学校・校長)

    • 今回の研修でも利用していた教材提示装置OHCの活用やビデオ等の視聴覚教材の効果的な利用など、まずはできることから始める。
          教師に有効性を実感させる。
    • 地域の教育力を活用するため、地教委の人材バンクや各種団体のホームページ等の利用の促進を行うとともに、学校のホームページ
          等による情報発信を行い、協力を請う。
    • 年間指導計画へICT教材・教具の利用の位置づけ(開発及び蓄積、共同利用)を進めていき、一人一人の生徒と向き合う時間を
          生み出す。また、生徒の実態に合った補充・深化・発展の学習課題を提供できるICT教材の利用も考えていく。
    • 校務における可能な部分のICT化により、効率的に事務処理を行う。
    • 地教委等に対して、ICT関連の機器の導入及びICT教材・教具の購入のための予算処置の要望を積極的に行う。
          (中学校・教頭)

    • 日常的な生徒理解に対しては、校内LANによるネットワークを生かして、生徒の「いいとこみつけ」の情報を全職員に提供してもらう
          システムを構築したい。また、日常的な授業改善に対しては、教育機器の整備状況とその活用実態を把握し、「分かる授業」づくりの
          ためにより効果的な活用を図りたい。不足する教育機器に関しては、教育委員会との連携を図り、計画的に購入していきたい。
          さらに、家庭や地域、小学校等との連携強化に対しては、HPの日常的な更新による情報公開と説明責任等を果たしていきたい。
          (中学校・校長)

    • 本校の実態として、まずは既存のものを十分に活用していこうという発想からスタートしたのでよいと感じています。発想や意識が
          変われば、上述したことは新しく予算をかけなくても、しかも比較的少人数でも十分に実践できることばかりであり、
          「始めてみる、体験してみる」ことから職場の仲間の輪を広げていくことが、とりかかりやすいことだと考えています。
          (中学校・教頭)

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