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管理職のための戦略的ICT活用研修 事例6

ワークショップ

「学校におけるICT活用のための管理職研修」

主催 日本教育工学協会(JAET)および 川越市教育研究所
日時 平成21年12月22日(火) 午後1時30分~午後4時
場所 川越市立教育研究所
講師 永野和男(聖心女子大学教授)
対象 川越市立小中学校の管理職・ミドルリーダー
参加 川越市立小中学校の校長、教頭及び教務主任 55名

13:40 ~ 13:55 (15min)

イントロダクション

導入の活動
チェックリストの記入
挨拶
川越市教育委員会
学校教育部参事兼教育研究所所長
細野 千尋氏より挨拶


演習1:教育の情報化、多様なICT活用

13:40 ~ 14:20 (40min)

講義1:「教育の情報化の目指すもの ~ICTの教育活用の意義を検討するために~」

1.教師にとってのICT、子どもにとってのICT
教師にとって
  →黒板とチョークの代わりとして指導の幅を広げるもの
子どもにとって
  →学習や発表に使用し、思考の道具になるもの
2.教育の情報化の狙い
①新しい学力をどう身につけさせるか
  →情報教育のすすめ
②情報ネットワーク・デジタルコンテンツを授業に活かす
  →授業におけるICT活用
③事務的な処理(校務)の自動化・情報管理
  →校務の情報化

ICTが学校に導入されたら、個人で使用するのではなく、組織で活用しなければいけない。
ICTが得意な人は若い先生に多いが、個人の視点で考えて動いてしまう。組織としてのICT活用を考えられるのは管理職である。
管理職は、具体的な操作はできなくてもよいので、アイディアを出したり、全体像をみてマネジメントをしたりすることが求められる。
特定の個人に任せきりにしてはいけない。
3.授業の工夫(使えるものはいろいろ)(PCとは限らない)
実際に教材を投影するだけで、理解を深める効果は大きい。
基礎学力の構築のために、気軽にICT機器を使うことが重要。
授業だけでなく、情報共有など先生同士のコミュニケーションにも活用できる。
4.情報通信技術(ICT)
コンピュータはただの道具で、重要なのは使い方。
 例えば、職員室の奥でなく入り口に置く、など「置き場所」を変えるだけでも、利用頻度は上がり、便利な道具になる。
5.2つの側面(コンピュータの役割の変容)
コンピュータの役割
 ①人間の仕事の代行
 ②人間の知的活動の支援ツール

教育でのICTはどちらかというと②。採点など、人間的な仕事が多い。 ②の方が、使い方が重要になる。うまく使えば、自分の能力を拡大することができる。
6.川越では、何が問題?
  • 個人ではなく組織がパソコンを持つという意識
      →個人利用の延長で考えず、校務で使用する、ということを意識して、分掌を
          明確にすること
  • 情報の管理のルールを決めること
      →個人情報の流れと管理のルール
  • 教材の共有や日々の情報管理にも使えること

組織でパソコンを持つためには、どんな運用が必要なのか。
役割を明確化すること。最も重要なのはリーダーが実現のビジョンを持つこと。


14:20 ~ 14:30 (10min)

休憩




演習2:改革への戦略

14:30 ~ 14:50 (20min)

グループ討議

1.学校の現状はどうか?
2.教員一人1台のパソコンを入れると、何が可能になりそうか。
3.私は、この環境で、何を実現したいと思うか。
  • 見通しは?
  • 不安は?
小学校グループと中学校グループに分け、6人程度で1グループ構成。上記1~3について、議論し、出た意見を付箋に書き出して、机上に並べて共有する。


14:50 ~ 15:10 (20min)

発表

講師が小学校グループ、中学校グループからそれぞれ1グループずつ指名し、代表者が議論の内容を説明。

小学校グループ

1.学校の現状はどうか?
  • セキュリティに不安がある
  • ICTの活用力に個人差がある
2.教員一人1台のパソコンを入れると、何が可能になりそうか。
情報共有。フォルダやファイルをどうやって共有化していくか。
3.私は、この環境で、何を実現したいと思うか。
グループ内で話し合っていても、学校によって情報化に差があり不安を感じている。ICTが進んでいる学校に情報をもらいたい。
 
◎講師質問
質問:「ICTが進んでいる小学校はどうやってそうなったのか?」
回答:「施設の移転があったため。今は各クラスに1台ノートPCがある。しかし教室だとPCは
    開きにくいため、事前に職員室で内容を確認してから行く先生が多い。子どももPCを
    使える状態にあるが、ネット利用などで特に問題は起こっていない。
    各クラスにプリンタもあって便利だが、インク代がかかるのが問題」

中学校チーム

発表内容
学校として、PCの導入を待ってはいるが、「今のPCに変わって新しいPCが来る」という認識。
今使用しているソフトやデータがどうなるかが不安。
ガイドラインの校内研修をして、あれもこれもだめと言うと、管理職と先生の間に溝ができる。
今日のように、参加型の研修がよいと思う。
運用面にも不安がある、例えばPCは鍵のかかる棚に入れたいが、鍵は誰がかけるか、など。
 
◎講師コメント
これからPCを使用していくにあたり、現場のニーズが必要になる。
困っているときは、単に「わがまま」でなく困っている理由があるはずなので、それを捉えて解決策を考えることが大切。



まとめと今後の課題

15:10 ~ 15:45 (35min)

講義2:「ICTと管理職の役割」

1.管理職としてあなたはどのタイプ?
2.VISION(実現の見通し)
3.改革のための取り組みと要因
4.組織つくり(校務の情報化場合)
 
管理職の喩えとして、指揮者を挙げる。
指揮者には2つのタイプがある。
 ①1つの楽器の演奏に突出していて、才能がある天才型。
 ②全ての楽器を演奏できるが、どれもあまり上手ではない。
 
長続きするのは②のタイプ。オーケストラの構成員を励ましたりして上手く管理する。これは長期戦である。
 
教育のICT化もまた長期戦。管理職が全体へ働きかけ、全体として1つの動きになることが重要。1人でがんばってはいけない。
場合によっては、お金を払ってでも、担当者を置く。
 
また、指揮者とは、途中で色々な意見が出たとしても、最終的なデザイン(VISION)を決定する人である。状況に対する理解が必要。
どんな問題が想定されるか?それをどうやって解決するのか?具体的なVISIONを持つこと。

ワークシートとアンケートの記入



宿題

学校に持ち帰り、校長または教頭と相談して記入することが要求された。川越市教委に提出された後、講師に送付される。
(研修ワークシートの項目4以降。)


15:45 ~ 16:00 (10min)

質疑応答

講師による研修のまとめ
  • 今日は各地域の課題と解決策を共有できた。よい事例は積極的に取り入れていくように
        努めていただきたい。
  • 世の中の既存/市販のシステムが、業務改善にそのまま適用できるとは限らない。各校の
        業務にマッチさせるには現場の工夫が必要であり、先生がそういった工夫をするような
        職場環境づくり、組織作りが校長の役割として重要である。
  • ICTに長けた若手と、経験に長けたベテラン、得意なところを生かしあえる組織作りを。


  • 閉会行事

    挨拶
    川越市教育委員会
    学校教育部 教育研究所 研修担当
    中村 健二 主査より謝辞




    レポートより
      課題1.今回の研修に参加して、気づいたこと、感じたこと
    • 校務用PCを如何に学校運営に生かすか新しい視点で考えることができた。(小学校 校長)
    • ICTの内容が、全く新しいものでなく、今まで少しずつ取り入れられてきていること。パソコンだけでなく、幅広い情報機器の活用で
          あること。(小学校 教頭)
    • 児童 ・日報・成績処理・子どもとの関わり時間の増加
          職場 出席統計⇒1日→月/授業時数/行事計画
          地域 ホームページ⇒学校の様子理解/行事案内(小学校 教頭)
    • ICT研修ではあるが、基本的には管理職等学校経営に携わる者の経営VISIONがしっかり持てるかどうか、
          また、そのVISION実現の為の策を講じる能力があるかどうかを問われる研修会であると感じた。(小学校 校長)
    • ICTの研修ということで技術的な説明が中心と思っていたので学校経営の改善にICTを生かすという発想そのものが
          自分にとっては発見であった。(小学校 教頭)
    • 教師は個人情報等の管理についてあまり意識がない。個人及び組織の情報は個人ではなく組織(学校)がパソコンを持って
          行っているという意識をもつことが必要であることがわかった。学校では、児童・生徒の成績等が特に関わるが、学校という組織で
          取り扱っているという意識を持ち学校という組織体の信用を失うことがないようにしたい。(中学校 校長)
    • 発想の転換の必要性、重要性に気付いた。日常の仕事の忙しさで新しいことへの発想の転換ができないでいたが、
          ICTの活用により仕事の合理化がかなり可能性があると感じた。(中学校)


    • グループ討議をとおしてICTをすすめる上での各学校の現状を共有することができた。また、PCの導入に当たって学力向上のための
          活用及び校務の情報化、情報セキュリティへの対応、情報活用能力の育成等について意見交換ができた。
    • ICTにおける管理職の役割について特にVISION及び組織作り経費等の負担についてしっかりとした考えを持つことの大切さが
          理解できた。(中学校 教頭)


    • 校務の効率化を進めるためにも、コンピュータをどのように組織として活かしていくかが大切であることが分った。
          短い時間ではあったが、有意義であった。(小学校 教頭)
    • ICTという概念については研修に参加するまでは実のところよく理解していなかった。しかし、研修会に参加し、ICTという概念について
          理解ができた。講義だけでなくグループ討議もあり、各学校の様子も理解でき、大変有益であった。ただし、時間が短かったようで
          表面的に流れてしまったように感じた。今後、研修内容のメモを読み返すとともに、DVDを視聴し、さらにICTの戦略的な活用について
          考えていきたい。(中学校 教頭)
    • 課題2.これから管理職としてどのような問題に焦点化して取り組めるか
      ◆長期的計画
    • よくわかる授業で学力の向上を図る。
    • ICTを無理なく活用できる教育環境を計画的に作って行く。
    • 年間指導計画等にICT活用を意図的に位置づけていく。
    • ICT機器の整備のための予算配当を計画していく。
    • 保護者や地域住民等への理解と協力を促していく。(小学校 教頭)


    • 校内LANの敷設によるインターネットを活用した授業
    • ハード(プリンタ、電子ボードあるいはプロジェクタとスクリーンの増設)
    • グループソフトウェアの導入による校内ネットワークの効率化
    • 事務の効率化(小学校 校長)


    • ICT推進のためのシステムづくり(校内、校外)
    • 教職員のコミュニケーション能力の向上
    • 教職員のメディア・リテラシーの向上
    • 教員の指導力向上
    • 学校・家庭・地域でのネットワークの構築(ON-LINE SYSTEM、ON-DEMAND)(中学校 教頭)


    • 学校の教育資産(教材、文書、指導計画等)のデータベース化
    • 校務の効率化(事務負担の軽減)
    • 授業改善による児童の学力向上
    • 地域保護者との連携強化(小学校 教頭)


    • 学校教育目標の具体化
    • やはり学力の保障を確実に行う手立てをとる。
    • 次に豊かな心の育成を図りあたたかい学校づくりに励む
    • 教員を育てる。(中学校)
    • ◆短期的計画
    • 校務の情報化で質の改善とゆとりの創出
    • 教員同士での情報共有を図れる環境づくり
    • 情報セキュリティを高めるための啓蒙活動
    • 情報モラル教育の推進 (小学校 教頭)


    • 3月までの各分掌主任との打合せ、計画(日程調整等)
    • 全体研修会の日程、内容の検討(校長、教頭、教務主任)→情報教育主任⇒研修会
    • 校務用パソコンの収納、保管、利用方法の細部案検討 (小学校 教頭)


    • 教室でのPC活用を促進し、学習内容に応じたコンテンツを効果的に活用することを通して、授業の活性化を図る。
    • 黒板を使った従来の授業展開から、動画や3次元的映像等を活用した授業を展開することにより、児童のイメージを
          広げることができ、意欲や学力の向上につながることが考えられる。 (小学校 主幹)

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