研修活用事例紹介へもどる

管理職のための戦略的ICT活用研修 事例8A

ワークショップ

「学校におけるICT活用のための管理職研修」

主催 日本教育工学協会(JAET)および 久留米市教育センター
日時 平成22年1月12日(火) 午前8時45分~午後0時
場所 久留米市教育センター 2階研修室
講師 山西潤一(富山大学教授)
対象 久留米市立小中学校、高等学校、養護学校の管理職
参加 久留米市立学校の校長、教頭 34名

8:45 ~ 9:01 (16min)

イントロダクション

挨拶(久留米市教育センター 井上所長)
教育センター井上所長からご挨拶。
講師紹介
久留米市教育センター様より山西教授のご紹介
JAETの組織概要の説明(山西教授)
 
本研修プログラムの概要説明(山西教授)
  • 文部科学省委託の事業であることを説明
  • 今年は全国12か所500名の管理職の先生方が受講
  • 本日の研修の進め方に関する説明
  • 今日の研修はグループ討論やディスカッションを中心とする。知識を詰め込む研修ではなく、日常的な悩みや問題を出し合い、共有し、解決の糸口を探っていく。結果を学校に持ち帰り、情報共有して頂きたい。
導入の活動
  • 事前チェック →アクションチェックシートの記入(3分)
  • ワークシート項目「1.オリエンテーション」と「2.教育の情報化に関する課題」に記入。
    「ワークシートに従って、ビジョンと教育の情報化への期待についてお書き下さい。」


演習1:教育の情報化、多様なICT活用

9:01 ~ 9:50 (49min)

講義1:「教育の情報化の目指すもの」及び「教育の情報化の動向」

日本のICT戦略の説明
2001年から国家戦略として情報化が進められている。
 
教育の情報化が目指すもの
  • 「良く分かる授業」をするための工夫の一助としてICT活用。
  • 技術家庭科だけでなく、従来の教科学習における授業改善にICTを活用。
  • 学習指導要領に位置づいているICT活用、教科指導におけるICT活用に関する解説
  • 子どもたちに情報教育による新しい資質の育成(情報活用の実践力、情報の科学的理解、情報社会に参画する態度)をすることを目的とする。情報処理能力をつけることのみを目的としているわけではない。
  • 校務の情報化(校務処理の改善、教員のゆとり、子どもに向かいあう時間が増える)
 
教育の情報化の動向や整備目標の達成率、ICT活用指導力の状況調査結果の概況解説。
  • 既に予算措置はされている。
  • 教員のICT活用に関する意識調査を引用し、ICT活用の効果に関する観点別評価の情報、客観テストによって明らかになったICT活用効果等を提示。教員は効果を感じている。客観テストでも10点程度の有意差が出ている。
 
新学習指導要領に位置づけられたICTについて。
  • 基本的な操作、情報モラルの習得など、具体的な文言が入っている。
  • 総則には教師によるICT活用を前提とした文言がある。教員による指導方法の一つとしてICT活用が位置づけられている。
ICTを活用した教育活動の具体例提示
  • プロジェクタと実物投影機の活用例
  • タイピングスキルを身につける教育活動例
生徒のICT スキルは、整備されたICT環境と教員のスキルに依存する。
 
ICT活用の整備状況について
  • 都道府県別ランキングは出ているが、地域間格差は存在する。格差を埋めるには先生方の情報共有が肝要。
生徒のICTスキルは環境と教員のスキルに依存。
 
インターネットの光と闇について
  • 内閣府調査によるインターネット被害経験について提示。学校だけでの指導は不可能。家庭との協力が不可欠。
校務情報化の効果について
  • 直接的には、校務処理が効率化することによる教員の余裕が生まれる。副次的には、それらの結果として子どもと関わる時間が増える。
国家戦略におけるICT環境達成目標と達成状況の提示。
都道府県別のICT整備状況のデータを提示
 
教員のICT活用指導力の状況について
 
今後の教室のICT環境について
  • 現状は授業におけるICT活用が進まない理由として「準備時間の不足」「機器の不足」等があげられる
  • 大学、PTAなどと連携してICT活用の促進をすることが考えられる
管理職の能力と生徒の成績の関連について
  • イギリスのデータをもとに解説。環境が良くなり、管理職の力量が高いと生徒の学力が上がる。


9:50 ~ 10:00 (10min)

ビデオ視聴1

管理職のための戦略的ICTコンテンツ総論(映像)をみる


10:00 ~ 10:20 (20min)

休憩

ここまでの講義とDVDを視聴して、ワークシート3に記入。



演習2:改革への戦略

10:20 ~ 10:50 (30min)

作業1:課題を共有し管理職としての戦略を考える

<個人作業10分>
まずは個人作業。個人あるいは本校の「課題」と「解決したいこと」を付箋紙に記入。
  • それぞれの学校が課題と考えていること、これから解決していくことを共有。
  • 「課題」をピンク、「対応策」を黄色に記入


    <グループ作業20分>
    課題と解決法をペアにしてグループ化する。
  • 共通の課題として「環境の不足」「教員のICT活用に関する意欲」
        「情報共有・情報管理に関する問題」などが見られた。


  • 10:50 ~ 10:58 (8min)

    ビデオ視聴2

    愛知県での取り組み事例(映像)をみる
    戦略的なビジョンをもってICTを活用した校務改善を行った例。

    視聴後、ワークシート4に感想を記入。


    10:58 ~ 11:10 (12min)

    解説:改革のための取り組み

    (1)VISION(ビジョン)
  • 解決すべき問題は何か?
  • ゴールのイメージを明確に持つこと
  • 解決までの時間に見通しを持つこと
  • (2)組織つくり
  • VISIONの共有化のための工夫
        検討会・発信型の研修会
  • 支援体制
        保護者の協力/協力者の養成
  • 管理職の役割は?
  • (3)経費の担保
  • 設備的な予算
        教育委員会(企画と申請)
        研究委託事業の受託
        民間の研究プロジェクトへの参画
  • 運用的な予算
        校費の重点配備
        保護者の協力
        民間の研究プロジェクト


  • 11:10 ~ 11:20 (10min)

    作業2:グループでのビジョン作り

    グループごとに整理した課題を、仮想の学校に適用し、具体的な解決法について、ワークシートの内容をもとに、実現計画を考え、改革への戦略をまとめる。


    11:20 ~ 11:30 (10min)

    作業2:グループでの発表準備



    11:30 ~ 11:55 (25min)

    プレゼンテーション

    各グループ、2分で改革戦略の発表を行い、講師が講評する。
    各グループの発表から出てきたキーワード:
  • ICT活用を中心的に進めていくリーダーの育成をしていくことが重要
  • 外部人材の手当て(加配)をしてほしい
  • 情報モラルに関して、保護者(家庭)との意識合わせが重要
  • など



    まとめと今後の課題

    11:55 ~ 12:00 (5min)

    まとめと今後の課題(レポート・宿題など)

    講師による研修のまとめ
    • 課題を解決するための手立てを管理職がとらなくては解決しない。
    • 戦略的な指導力とは?
      • 学校をリードするビジョンを持っている
      • ビジョンの見直しをスタッフで
      • 良い方法を分かち合う方法と実践
      • ICT活用への理解と問題の把握
      • 現在と将来を見据えたICT活用
      • 長期的に考え、短期的に解決策を
           ビジョン>実現計画>予算
    • これからの教育環境について
      • いつでも使える環境があることと、「いつも使う」は違う。環境が整うことで、必要な時に必要な利用ができる。
    • ICT整備状況と教員の資質差に関する英国のデータを引用し、環境整備の重要性について共有。


    宿題

    自分の学校の課題に対し、どう戦略的に取り組んでいくか?A4で2ページ以内のレポート提出が課された。
    レポート課題:
    今回の研修に参加して、気がついたこと、感じたことを事務局までメールにてレポートする


    3分間アンケート記入



    閉会行事





    レポートより
      課題2.これから管理職としてどのような問題に焦点化して取り組めるか

        ○久留米市立A小学校
      1. VISION
        • 課題
          1. 現時点での子どもの情報活用能力や環境に差がある。
          2. ICT活用に対する教師の意欲・能力に差がある。
          3. ICT活用に対して、すぐに対応できるサポートシステム
          4. 個人情報等の管理
        • 長期目標(短期)
          1. ICT活用能力を持った子どもの育成(パソコンで情報を収集し、発信することができる子ども)
          2. ICT活用による学力向上をめざす授業づくり(電子黒板を活用した授業づくり)
      2. 方策(組織づくり)
        1. ICT活用推進委員会を立ち上げるとともに、教務部、研修部等との連携を図る。
        2. 職員研修
          ※ICT活用推進委員会に次のような内容を共通認識でき、取り組めるような研修計画を作成させる。
          • ICT活用の効果(学力向上・職務の効率化)と課題(準備が面倒等)を明確にする。
          • 児童に、どのようなICT活用能力をつけたいのかを具体的にする。
          • 授業における、ICT活用は、どのようなものがあるか。
          • 取組の事例を学習したり、紹介したりしあう。(ex)・すぐにできるもの
          • 校内研修にスキルアップ的な研修を取り入れる。
        3. 情報収集(教務部)
        4. 教育課程(教務部)
          • 年間5回活用する。
          • 学年の年間学習指導計画に、ICT活用授業を位置づける。
        5. 活用規定(個人情報の管理等)の作成(教務部)
        6. 管理職の役割
          (1)職員育成
          • ICT活用研修に行かせ、中心となり推進できる教員を育成する。
          • ICT活用に関する外部研修参加や先進校視察計画を作成する。
          (2)外部人材の発掘と経費の確保等の環境整備

        ○久留米市立B高等学校
      1. VISION
        1. 情報機器の使用による教育情報等の共有化
          1. 情報共有化・共有の階層化を図り、生徒や青少年・教育情報等の共通理解をより一層推進するとともに情報の有効使用を図る。
            • 個人使用の情報<分掌内での共有化(学年での共有化)<学校での共有化<地域の学校での共有化<県単位での共有化
              という風に情報の内容により共有化の範囲を考える
          2. 文書の階層的共有化を図り、文書作成業務の効率化を図ること。
            • 個人使用の情報<(上記と同様)
        2. 情報機器を使用した教育技術のより一層の推進
          1. 教具としてのICT機器の活用を図る。
            • 教科書等のテキスト提示装置としての活用
            • 現実にはできない(時間が掛かり過ぎる・お金がかかり過ぎる・小さくて見づらい・大きすぎて見えない)もののシミュレーション装置としての活用
            • 生徒間あるいは生徒教師間のコミュニケーションツールとしての利用
          2. インターネットを使用した調べ学習の道具としての有効な利用。
          3. 教具としての活用の方法に知識の共有化・活用技術の共有化
      2. 長期的計画
        1. 外部とのネットワーク特に教育関係とのネットワークを重視して、教育情報の共有化を図る。特に外部ネットワーク構築するのは管理職としてやるべき責務。
        2. IT機器を使える教員を増やすための中核となる教員の養成
        3. 教員以外のIT専門職を学校に導入する。
      3. 短期的計画
        1. 情報機器を授業に分掌業務に全職員が活用できるようにする。
          校内研修会、外部研修会への参加
        2. IT機器の情報セキュリティーに対する脆弱性を補うための方策の確立
          1. アクセスのための適切なIDパスワードの設定を適切に行う
          2. アクセス履歴の保存
          3. USBメモリー等外部メモリーにはコピー禁止とするが、必要な時は管理職の承認コードの発行を必要とするようにシステムを構築する。
      4. 組織
        1. 分掌組織をICT活用を前提とした組織に改編していく。
          1. ICT研修係を研修部内に置く、ICT研修係は同時にICT活用委員会に属する。
          2. ICT活用委員会は各学年の代表各一名、各教科代表そして校長より任命したICT活用委員長で構成する。
          3. ICT活用委員会は校長の諮問機関として機能し、またICT機器活用の調査機関でもある。 委員会の役割は上記のVISION、長期計画、短期計画をより具体化することにある。

    ページの先頭へ戻る